自分のためでなく、
父親のためでもなく、
二人の社員のために
社長になろうと思った。

平成17年8月。僕が30歳のとき、父が他界しました。父はユーエス計画研究所の社長でした。
残された僕は途方にくれました。僕は小さな頃から建築に興味を持っていました。
大学で建築工学を学び、地元のゼネコンに入社して施工と積算を経験しました。
本当のことを言うと、父の会社を継ぐ気なんてありませんでした。
しかし、29歳の時に父に請われてユーエスに入社。
積算担当として父をサポートしながら毎晩遅くまで仕事をしている最中、
いきなり父が亡くなったのです。

ところで、ユーエス計画研究所のユーエスとは
「アーバン・ストラクチャー(Urban Structure)」の略。
「都市の構造物」という意味です。
設計とは単純に建物をつくるという仕事ではなく、そこで生活する人々の生活をつくる仕事である。
ユーエスの社名には、父のそんな強い思いが込められています。

しかし強い思いと裏腹に、当時のユーエスは、社長であった父を除けば2名の設計士とアシスタント、
そして僕という4名の小さな設計事務所に過ぎませんでした。
そんな規模でしたから、その時点で会社を解散するという選択肢もありました。
設計士は2名とも優秀でしたし、僕も(優秀ではありませんでしたが)、
以前のゼネコンに戻ることは可能でした。
しかし父の葬儀が終わると、
2人の設計士が僕に言ってくれたんです。

「僕らはユーエスに残りたい。だから、絶対にユーエス計画研究所という会社を残しましょう!」と。
しかも、「会社を残すなら、社長は繁野になってほしい」とまで。

多分、そう言ってもらえなかったら、今頃、この会社はないと思います。

僕は決めました。
僕が会社を継ぐ。父のためでも自分のためでもなく、
ここに残ると言ってくれた彼らのために、設計士が幸せになれる会社をつくる。
こうして、僕は社長になりました。

一番の目的は、
お客様に
喜んでいただくこと。
僕たちは、設計という名の
サービス業だから。

会社は継いだものの、最初は仕事がありません。
今まで父の信用で存続してきた会社ですし、僕は営業が大の苦手。
だからゼネコンを回り、設計の協力会社をメインに仕事をしていました。
さまざまな苦労も経験しましたが、適度に仕事は頂けましたし、
少しずつ設計スタッフを増やす余裕もできてきました。
そして、あの“リーマンショック”が起きました。協力会社の仕事が激減しました。
わずかな仕事を取るために同業の設計士がみんな価格を下げました。
自分で自分の首を絞めるようなものです。そこで、やっと気付きました。

元請けにならなきゃダメだ。

協力会社の仕事は、お客様の顔が見えません。
でも元請けなら、お客様の反応をダイレクトに感じられます。
良い仕事をすれば喜ばれ、モチベーションも上がります。
その反面、手を抜けば文句を言われるし、仕事もなくなります。
苦手な営業も必要になります。厳しいことは承知の上です。でも、元請けになると決めました。

では、元請けになるために、何をすればいいのか。
そこで僕が考えたのは、“サービス業”になろうということでした。
考えてみれば当たり前のことです。
だって、製造業とは、建築現場で建築物をつくる人のことです。
僕たちがつくるのは、単なる設計の図面に過ぎません。
形として残る「モノ」がない。だから、サービス業。
僕たちは、設計という名の“サービス業”なんです。

サービス業ですから、僕たちがつくりだす価値とは、
お客様に「喜んでいただく設計をすること」以外にありません。
たとえばお客様の事業用の建築物を設計する場合、
その事業を成功に導くための設計を徹底して考える。
それがユーエスの価値です。

建築コストを下げる必要があれば、
1円でも安い資材(もちろん品質・強度は妥協しません)を全力で探します。
そして浮いた予算を「事業の効果を考えると、ここはデザインで主張する必要がある」
と思える部分に集中して投入します。

ただお客様の言いなりで図面を引いたり、自分の趣味でデザインをしたりという仕事は、
少なくとも“サービス業”ではありませんからね。
お客様から喜んでいただくサービスを行い、それを社員全員で喜べる会社をつくる。
それが僕の喜びです。

設計士が
幸せになる会社とは、
いろんな設計の
プロが
集まった会社。

現在、ユーエスでは介護・福祉施設や投資用マンション、
公共施設などの大型物件をメインで手がけています。
実は、そこには理由があります。

これまで多くの設計士を見てきて、僕は一つ気づいたことがあります。
設計士には、「好きなことしかしない」というタイプが多いんです。
だから自分のしたいことだけができる環境を求めて設計会社を渡り歩く人を何人も見てきました。
そういう人は、最終的に自分がよく分かっている
“戸建住宅”の設計に行く着くことが多いのです。
でも戸建住宅は競争が激しい上に、大手の設計会社が強力です。
いくら良いセンスと技術を持った設計士でも、価格競争で大手に勝つのは至難の業です。
それに、価格競争では設計士は幸せになれませんしね。

だから、ユーエスは戸建住宅をメインで扱うのをやめました。
その代わり、医療・介護・福祉施設や投資用マンション、
公共施設などの大型物件をメインで手がけます。

理由は明快です。
こういった事業用の建物の場合、
設計の優劣を決めるのは価格の安さや施主さんの趣味ではなく
「いかに事業を成功に導くか」というプランニングの良さだから。
つまり、この分野は大手の設計会社と我々が対等に勝負できるフィールドなのです。
もちろん勝負に勝つには、介護の法律や介助のノウハウなど、
戸建にはないさまざまな勉強が必要になります。

また、この分野で設計の元請けになろうと思ったら、
意匠設計だけでなく構造や設備、電気などの専門知識と技術も必要です。
それを1人の設計士が持つのは不可能です。
それなら、みんなで分担して勉強し、全員でノウハウを持ち、組織力で対応すればいい。
構造や設備、電気の分野も、その設計のプロを育てればいい。
だから、これからも多くの設計士を採用し、プロを育てていきます。
それが、僕が考えるユーエスの未来像です。

当面、20名の設計会社をつくります。
その全員が何らかのプロであり、
全員の総合力でどんな案件にも対応できる会社にします。
そして、設計士がずっと幸せになれる会社にしていきます。
それが、あの日、ユーエスを残そうと言ってくれた2人の設計士への恩返しであり、
これからのユーエスを支えてくれる人たちへの約束です。
よければ、僕たちと一緒にプロをめざしませんか?

代表取締役  繁野 民輝