1.はじめに
福祉施設における食事提供は、利用者の健康や満足度に直結する重要なサービスです。近年、施設で出される食事にクックチル完調品の利用を検討する動きが増えています。本ブログでは、クックチル導入のメリットと課題について考察します。
2.クックサーブとクックチルの違い
従来の調理法である「クックサーブ」は、厨房で調理を行い食事を提供するやり方です。一方、「クックチル」「ニュークックチル」は、調理したものを真空密閉して、冷蔵冷凍したものを衛生的に保存しておき、食事提供時にあたためて提供する方法です。クックチルは、冷蔵品だと製造日を含め5日間、冷凍品であれば1ヵ月の保存が可能となります。
クックチルは湯煎かスチームコンベクションで温めて提供する方法、ニュークックチルは冷凍して盛りつけたものを専用の機械で温める方法を指します。
3.クックチル導入のメリット
クックチル導入の最大のメリットは、厨房スタッフの作業内容がが容易になることです。緊急時でも安定して食事を提供でき、厨房職員が不在の時でも、厨房でないところで湯煎することで外国人職員などが食事の準備を行うことが可能となります。それによって、厨房スタッフが休みを取ることなども容易になるため、働きやすくなるという効果も期待されます。この柔軟性は、特に人手不足が問題となっている福祉施設にとって大きな利点です。
4.クックチル業者との連携
ある法人では、クックチル業者に登録し、時々完調品を取り入れることからクックチルの導入をスタートしました。クックチル業者との連携により、多様な食事メニューの提供が可能となり、利用者の満足度向上に寄与しています。厨房スタッフにとっても、負担の軽減に繋がっていることから、意味のある取り組みになっています。
5.アレルギー対応の課題
クックチル導入においては、アレルギー対応も課題となっています。アレルゲンの表記は明確に行われているものの、肉アレルギーのように対応が難しいケースもあります。主菜の変更だけでなく、ブイヨンや肉エキス、肉パウダーなどにも注意を払う必要があり、細心の注意が求められます。クックチルを提供する企業内でも商品開発の努力によって、アレルギー対応は進んでいますが、体質に関わることだけに、どの程度まで対応する必要があるのかが個別に異なることには注意が必要です。
6.まとめ
クックチルの導入は、福祉施設における食事提供の柔軟性と効率性を高める効果が見込まれます。今後は、アレルギーや食事形態の課題に対する解決策を模索しながら、利用者のニーズに応える食事提供の形を追求していくことが求められます。
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