【課題文】 10年後、私たちを取り巻く環境はどうなっているのでしょうか。スマートフォンが市場に出始めたのは約11年前、日常を世に発信するSNSサービスが流行をはじめたのが約10年前…今やどちらも私たちの生活には欠かせないものとなっています。 IT技術の発達は私たちの生活を一変させました。 それは、私たちが設計を手がける福祉施設の運営にも大きく関わっていきます。10年後の未来、あなたが想像するこども園のある姿を教えてください。
このたびは、「第3回未来こども園建築デザインコンペ」にエントリー、ご応募をいただきありがとうございました。全国の学生様からご参加をいただき、300を超えるエントリー、100以上の作品の提出をいただきました。どの作品も甲乙つけがたいほど素晴らしかったですが、提案力、創造性、テーマの明確さ等の観点において特に優れた作品を入賞作品として選ばせていただきました。今回のコンペでは最優秀賞1作品、優秀賞4作品、及びユーエス計画研究所の設計士たちが選んだUS賞1作品をそれぞれ選定させていただきました。
最優秀賞 「生物と交流を深めるライフスタイル」 東京電機大学:臼井 秀太郎 川原田 健人 原田 岬幸
敷地全体を使った表現や、特徴的な屋根の使い方が審査員から高い評価を受けました。提案書についても意図や目的が簡潔にまとめられており伝わりやすいと好印象でした。また、提案の中にちりばめられた、「生物との交流」のテーマを実現させる提案も特徴的でした。
優秀賞 「受容するこども園―10年後の変化を受容しながら園児を育む」 愛知工業大学:板倉 知也
提案に力があり、木育が未来の世界では庭のような役割を果たすと捉えている点が好印象でした。提案書への書き込みからも、作品に対する想いや熱量が伝わってきました。しかしながら、相手に伝わることを重視する提案書としては、率直なわかりやすさという点があと一歩でした。
優秀賞 「織り山」 東京工業大学:田上 空良さん 宮野 健士郎さん
敷地全体を活かした発想・また「10年後」という課題に対しての考えが明確に打ち出されており好印象でした。敷地条件が課題から逸脱した点はマイナス評価でしたが、コンセプトの明確さと子供の感性を育む空間としての場の提案を評価し、優秀賞と致しました。
優秀賞 「まざるマル つつむヤネ」 名古屋市立大学:石原 菜月さん 井村 春菜さん
柔らかく優しい表現で、子供にとって楽しい・面白いと感じさせるような提案が評価されました。テーマになっている屋根や、「まざるまる」への言及・表現があと一歩あれば、より良い作品・提案になったという意見もありました。
優秀賞 「カドとスミにつどう」 神戸大学大学院:具志堅 美菜子さん
「現在の保育園と10年後の保育園との変化は配置計画である」としたうえでの、コンセプトである「角」の空間利用が高評価を受けました。提案も綺麗にまとめられており好印象でしたが、使用する色味についてはより工夫が必要という意見もありました。
US賞 「営保集落 ― 地方都市住宅街における循環型公立保育園運営」 愛知工業大学:皆戸中 秀典さん 小出 里咲さん 他1名
一目で「おもしろい」と思わせる発想力が素晴らしい作品です。保育園のみならず、周辺環境についても「10年後」の姿を自身で設定しており、その中で提示される土地の利用・空き家の活用案が面白いです。強いて言うと、読み込みが必要で審査員泣かせな作品。表現の工夫で、想いや考えがより伝わりやすくなるのではないでしょうか。
■未来こども園建築デザインコンペ 過去の審査結果