こんにちは 顧客支援室の井上です。
今回は、介護・福祉施設の建物プランを検討する際に弊社が重視している
《ワークショップ》について、少し掘り下げてご紹介したいと思います。
今回取り上げる内容のポイントは、以下の通りです。
1. | ワークショップは、より良い支援等を目指す《スタッフのみなさまの意見》を建物プランに活かし、利用者への「サービスの価値」や事業者様の「建物の価値」を高める機会となります |
2. | ワークショップは、スタッフのみなさまのコミュニケーションを促しチーム作りに寄与する場としても施設へ貢献します |
3. | ワークショップで、施設計画及び建物プランへ関与することで組織へのエンゲージメントを高め、スタッフの「働き続けたい」という想いの醸成に繋がります |
では、さっそく内容に入っていきます。
1. ワークショップで、事業者様の貴重な資産「建物の価値」を高める!
弊社は、設計事務所であり、介護・福祉事業に特化してノウハウを積み重ねています。
弊社が建築・改修等のお手伝いをさせていただく建物は、事業者様にとって「サービス提供の場」となります。さらに、入居施設の場合には利用者・入居者の「住まい」でもあるということを強く認識しておく必要があると考えています。
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利用者にとって、そこは「一定時間滞在して、それぞれが求めるサービスを受ける場所」であり「自身が日常生活を営む場所」です。通所や保育のように、主に日中のみ利用するサービスであっても、その滞在時間は1日の4分の1程度にもなりますし、老人ホームのような「住まい」であればより長い時間その場で過ごされ、外出の機会以外はずっと建物の中におられるということも多くあるでしょう。
一方、サービスの形態にもよりますが、「サービスを提供するスタッフのみなさま」にとっても、建物は非常に多くの時間を過ごす場となります。サービス提供環境である建物はハード面からサービスに影響を与えることになります。したがって、スタッフの皆様にとってより良いサービスを提供するために「いかに心地よく、使いやすい建物か」ということは、とても大事なのではないかと考えます。
✔ 事業者様の「資産としての建物」
✔ 利用者が「サービスを受ける場」あるいは「住まいとしての建物」
✔ より良いサービスを提供しようとするスタッフの皆さまが「働く環境としての建物」
これら3つは、どれをとっても重要な要素ですが、弊社ではこのような様々な要素を持つ建物に関わらせていただく際、介護・福祉事業の目的であるサービスを支える「スタッフの皆様」により満足いただきたいと考えています。
それは、多くの事業者様にとって、スタッフが輝き、活きいきとサービスをされることが利用者へのサービスをより上質なものにし、その環境を形成する建物の価値にも直結すると考えられるからです。
以上の理由から、弊社では、事業者様の建物の設計や改修プランの検討を行う際に「どのような仕様にすれば、利用される方、働くスタッフの方にとってよりよいのか?」を検討していただく《ワークショップ》を開催し、プランに反映させるようにしています。
事業者様にとってもお忙しい中、スタッフのみなさまには多くの時間を費やしていただくことになりますが、建物をプランニングするうえで重要なプロセスとして、ご依頼いただいた事業者様へ、ワークショップの実施をご提案しています。
2. ワークショップでのコミュニケーションが、チームづくりに活きる!
このように、「より良いサービス提供」を目指して、スタッフの皆様からの意見を建物プランに活かす機会であるワークショップですが、多くの事業者様と取り組む中で、様々な効果を感じてくださることがあります。
例えば、スタッフの皆様が普段所属されている《チームへの影響》があります。
ワークショップは
「利用者様にとって、どんな作りが良いだろう?」
「どうすれば、より良いサービスを提供しようとするスタッフにとっても、心地よい建物になるだろう?」
こういったことを皆で考える機会になります。
スタッフのみなさまは、利用者様への支援を行うチームの一員として、日々努力されています。一方で、日常的な支援を継続する職場の環境は、どうしても閉鎖的になりやすく、様々な要因によりコミュニケーションが偏ったり、滞ったりする場合も少なくないようです。そのような中で、ワークショップは、「利用される方やスタッフにとってよりよい建物にしよう」という共通の目的を意識しながら、それへ到達するための方法をチームで協議する場となり、チームをづくりやコミュニケーションにも良い影響を与えてくれます。
たとえば、建物を検討する中で、何かの配置について様々な意見が出たとしても、どうする方がより利用者さんにとって良いのか、また多くのスタッフにとってより良いのか、そこに戻って意見をとりまとめられるようにしていく過程は、良いチームを作り、それを維持していくためにとても有効な経験にもなるでしょう。
3. ワークショップで「働き続けたい」法人、事業所へ。
職員のエンゲージメントを高める機会に!
建物は多くの場合「すでに出来上っているもの」として利用することが圧倒的に多く、ほとんどのスタッフのみなさまにとって《建物プラン》に関わる機会は少ないのではないでしょうか?
新築や大規模な改修等で建物プランを検討する際、経営層がスタッフの意見を十分に聞くことは「利用者様へのサービス提供や自身の働く場としての建物を考える」という貴重な成長の機会を、スタッフのみなさまに提供することになります。
この時、皆の意見を反映させることは難しい…といった場合や、意見が通らない場合の影響を心配される声もありますが、通常、何かの施策を検討する場合に、個々の意見がすべて反映されるということはまずありません。重要なことは、個々の意見がそのまま反映されるということではなく「スタッフが意見を挙げ、また他のスタッフの意見を聞いて、それらを取りまとめていくなかで、多くのスタッフの意見が検討されて最善の策が練り上げられる」という《プロセスに関わる実感》を得ることです。
このような実感が得られれば、たとえ自身の意見が通らなかったとしても、その理由を確認することで納得が得やすい状況がつくられ、様々な意見が織り込まれた結果への満足を感じやすくなると考えられます。また、この一連の流れはスタッフのみなさまが「自分がプランに関わった建物で働くことができる!」という想いにも繋がっていきます。
ワークショップでスタッフの皆さまから集まった意見
ー まとめ ー
「職場環境改善の取組」について整理を行うこと等を目的に実施された、『介護サービス事業所の職場環境等に関する調査研究事業報告書 令和 2年3月 三菱総合研究所』では、介護人材の定着への示唆として
介護人材の定着においては、「賃金」は重要な要素であるが、その他の「研修」や「処遇」「キャリア・評価・スキル」等の充実を含む職場環境の整備や、職場における円滑かつ効果的なコミュニケーションの実現等の複数の要素が複合的に影響を与えており、1つの取組を実践したのみでは、人材の定着にはつながりにくいという可能性が示唆された。
と述べています。
これは、1つの施策のみでスタッフの定着が達成されると考えるのではなく、様々な取り組みを組み合わせ、実施していくことによって、その可能性が高まっていくということを示していると考えられます。
福祉人材の定着が一層重要になる中で、事業者様は様々な活動を組み合わせ、職員のエンゲージメントを高める工夫をされていることでしょう。今回ご紹介した建物プランに関するワークショップは、重要な計画に関わることができるという経験やコミュニケーションを活性化などに寄与する可能性があり、スタッフのみなさまが働き続けようと思うことにつながる取り組みの一つとして位置付けていただくことができるのではないでしょうか。
法人全体で施設計画を進める貴重な機会!
ワークショップを活用した施設計画はユーエス計画研究所へお任せください。
建物プランにおけるワークショップについて、スタッフ満足への影響などを評価いただく事業者様がありますが、これは、ワークショップを通じてスタッフのみなさまに施設計画に関わっていただくことで、今回ご紹介したような様々な効果を感じていただいたことによるものと考えられます。
弊社では、引き続きこのような機会を大切にしながら、事業者様の建物プランの検討に関わらせていただきたいと思います。
建物の新築、改修等の際に、また弊社へご用命いただける機会を頂戴できましたら幸いに存じます。
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